海を守ることは、PADI®プロフェッショナルにとって大きな関心事です。にもかかわらず、受講数が多い人気SPコースの中に、海洋保護・保全に関係するSPは6つもあるにも関わらず、1つ(ピーク・パフォーマンス・ボイヤンシー)しか選ばれていないのでしょうか?
“お客様が求めていない”という答えが最初に思い浮かぶかもしれませんが、それは多くの人が海洋生物や水中世界に魅了されてダイバーになったという事実を見落としています。知り合いの中にもいる海洋生物オタク、水中写真愛好家、海好きの人々すべてが潜在的なあなたの生徒です。
ここで、ひとつ感謝を伝えさせてください。すでにAWAREの海洋保護・保全コースを推進されている方、ありがとうございます。PADI AWARE Foundation™の保護・保全活動を支援し、多くの人に、海を守る大切さと手段を伝えてくださることに感謝します。
そしてAWAREのSPコースを久しく行っていない方のために、世界中のPADIインストラクターがどのようにAWAREの海洋保護・保全系SPコースを他ショップに対する競争力強化・差別化のツールとして活用しているかをご紹介します。また、彼らのお手本にしたい指導のヒントも紹介します。とはいえ、この記事にあるアイデアは、PADIコースディレクターによるインストラクタートレーニングの代わりとなるものではありません。 https://youtu.be/kjneezUR8Pg
PADI AWARE スペシャリスト
PADI AWAREスペシャリストコースは、何が海にとって脅威となるのか、私たちがその影響をどのように軽減できるかについて教育するものです。このコースは、ノンダイバーを含め、誰でも受講することができます。
PADIコースディレクターで、英国ノーサンバーランドにあるFifth Point Diving Centreの共同設立者であるニック・エマリー氏は、次のように語っています。「ほとんどの初心者は、自分がすぐに保護活動に参加できることに気づいていません。経験豊富なダイバーにしかできないことだと思われています。」
Fifth Point Diving Centreでは、オープン・ウォーター・ダイバーのトレーニングプログラムにAWAREコースを組み合わせています。海洋保護への情熱を植え付けるだけでなく、追加トレーニングによってさらにコースの価値を高めることができるのです。
「もし、どのダイビングセンターでも同じようなパッケージを提示された場合、お客様の購買意欲は価格によって左右されるでしょう。しかし、もしあなたが周りの人とは違う素晴らしい特典をつけたら、お客さまは自分にとって最も価値のあるパッケージを選ぶに違いありません。値段はもはや決め手ではありません。自然保護コースを含めれば、より高いコース料金を請求でき、水中世界を守り、環境に配慮した方法で海を守るダイバーを増やすことができます。」
スペイン・テネリフェ島にあるPADI 5スターIDCリゾートExcel Scubaでは、PADIダイブマスターインターンシッププログラムに海洋保護コースを含むように設計しています。
PADIエリートマスターインストラクター兼ダイブセンターマネージャーのミッシェル・ホランドは、「私たちは、将来のダイブマスターに、海が直面している問題やダイバーとしてできることをより深く理解してもらい、将来より多くの良い影響を与えてもらえるよう、ダイブマスターコースとAWAREスペシャリティコースを組み合わせています」と述べています。
「PADIプロフェッショナルとして、私たちが海に与える影響を軽減する方法を理解し、知ることが重要です。そのためには、AWAREスペシャリティコースを受講し、受講生にも同じことをするように勧めることが大切です」とホランドは付け加えました。
指導のヒント
ホランドは、悪いニュースとポジティブな変化の例とのバランスをとりながら説明することを勧めています。「AWAREコースは、悲しい統計もある深刻なコースですが、PADIプロには、楽しくポジティブに、例えば、フカヒレ漁の禁止、ホープスポットやMPAの導入など、状況が改善されていることにも言及するよう勧めています」と彼女は付け加えました。
無料の資料:
プロフェッショナル向け:
- AWAREインストラクターガイドとレッスンガイドのダウンロード
- ビデオを見る:AWARE Specialtyが継続教育と器材販売の機会を創出する方法(英語)
受講生徒向け: PADI AWARE Our World, Our Waterマニュアル(無料ダウンロード)
サンゴ礁の保護
ほとんどのダイバー、スノーケラー、フリーダイバーは、サンゴ礁を訪れたことがあるか、訪れる予定があります。サンゴ礁の保護スペシャルティ・コースは、サンゴ礁の複雑で壊れやすい性質を理解し、サンゴ礁を尊重した見方を持つように促します。
サイレント・ワールド・ダイブ・センター(米国フロリダキーズ)の海洋保護ディレクター、レナ・ホールは、「ダイバーやノンダイバーにサンゴ礁について教えることは、この上なくやりがいのあることです。サンゴがいかに複雑で美しいかを理解すると、生徒たちの顔が明るくなります。」と語ります。

サイレントワールドダイブセンターは、世界で3番目に大きなバリアリーフがあるキーラーゴにあります。PADI 5スターIDCであり、サンゴ礁の修復に積極的な地元団体と提携し、独自のサンゴ礁保全コースと併用しながら、生徒にそのプログラムについて教育しています。
「私たちは、海を守るべき者であり、自然保護のサポーターであることを徹底しています。」とホールは述べています。
指導のヒント
- プレゼンテーションを堅苦しいものではなくでインタラクティブなものにする
- 生徒や地域の環境に合わせたコースにする
- Our World, Our WaterマニュアルのAWAREセクション(無料ダウンロード)を参考にする
- 地域の保護活動/パートナーを巻き込んで活動する
Dive Against Debris®(ダイブ・アゲインスト・デブリ)
Dive Against Debris SPコースでは、生徒を#MakeEveryDiveCount(すべてのダイブが調査ダイブ)ができる市民科学者に育てます。参加者は、責任を持って海洋ゴミを回収し、その結果を報告する方法を学びます。さらに重要なことは、参加者が海洋ゴミの世界的な問題に対する理解を深め、海のためのより強い支持者になることです。
インドネシアのバリ島にあるアビスオーシャンワールドでは、生徒たちがアメリカ大陸やヨーロッパから流された海洋ごみを回収してきました。
「生徒たちは、発見した汚染物質の種類や、破片が流された距離の長さに驚くことがあります。Dive Against Debrisコースは、私たちの海の惑星に対する脅威の範囲をより具体的にしてくれます。」
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指導のヒント
アビスオーシャンワールドのインストラクターチームは、次のように勧めています。「生徒が、ただゴミ拾いさせられている、と感じないようにするために、コースから最大限の力を引き出せるようにしましょう。ゴミを集めることから始めて、それを項目別に分類し、識別し、最後に地元の廃棄物処理センターを訪問するようにします。また、海洋汚染がいかに地域の環境を脅かしているかについてのビデオを見せるのもよいでしょう。そうすることで、生徒たちは海洋汚染の世界的な規模を理解し、影響を最小限に抑え、地域社会を支援するために、自分たちの環境や旅行先で何ができるかを客観的に考えることができます。」
Dive Against Debrisは、認定ダイバーのためだけのものではありません。PADIアドバンスドマーメイド資格、PADIフリーダイバー™、および類似の資格を持っているダイバーは、Dive Against Debrisスペシャルティ・コースに登録することができます。
魚の見分け方
ダイバーがダイビング後によくする質問のひとつに、「あの生き物は何だったんですか?」というものがあります。その後に、生き物の場所、大きさ、特徴などを説明します。

ダイビングのプロとして、あなたはその答えを知っていることに誇りを感じていることでしょう。しかし、PADI魚の見分け方スペシャリティコースを受講してもらうことで、ダイバーが毎回のダイビングをより充実したものにすることができるのですが、この機会は見逃されています。
パナマのボカス・ダイブ・センターでは、すべてのダイブリーダーが魚の見分け方コースの講習を修了しています。ボカス・ダイブ・センターのマーケティング・マネージャーであるケリー・パターソンは、「私たちのダイバーは、水中で見たものについて豊富な情報を楽しんでおり、見たものを記録する時間を大切にしています。」と教えてくれました。
「この時、多くのお客様が魚の見分け方コースに興味を持たれるのです。自分で魚を見分けることができるようになることで、ダイビングの楽しさをさらに実感していただけると思います」とパターソン言います。
指導のヒント
もしあなたの地域に多様な魚が生息していない場合は、ダイビングの前にどのようにコースを実施したら、より講習生の興奮を高められるかを検討すると良いでしょう。例えば、近くに責任を持って適切に運営されている水族館があれば、フィールドトリップに行くのも効果的です。
PADIマスターインストラクター、フィッシュIDスペシャリティインストラクターでもあるパターソンは、さらに次のような教え方のコツを教えてくれました。
- ダイビングの前に時間をかけて、縦縞と横縞、斑点(Spot)と斑塊(blotches)の違いを説明し、ひれタイプや尾びれタイプなどの主要な見分け方もカバーします。
- 生徒にその地域によくいる魚を見せ、その見分け方を説明します。(例:マトンスナッパーは鯛に似ていて、側面にボタン模様がある)。
- 適切なトレーニングと経験を積んだダイバーに、自分達の知らない魚の撮影やビデオ撮影を依頼する。
- ダイビングの後、生徒が魚を描くための時間と十分なスペースを確保する。
- 生徒が描いたり撮影したりした魚を識別するために、魚の識別ガイドや図鑑を用意する。
ピーク・パフォーマンス・ボイヤンシー(PPB)
メキシコのカボ・サン・ルーカスにあるダイブ・ニンジャ・エクスペディションズの創設者で自然保護活動家のジェイ クルー氏は、「浮力のコントロールができていないダイバーが、自分でも気づかないうちにダイビングスポットを荒らしているのをよく見かけます。インストラクターとして、生徒がより良いダイバーになるよう努力し、その脅威を取り除くことが私たちの義務だと感じています。」と述べています。

中には浮力が取れていないことを認めないダイバーもいますが、多くのダイバーは空気の消費量を改善し、水中でより快適に過ごしたいと思っています。
「PPBコースは、生徒が浮力を完璧にし、上達するだけでなく、水中でより良い気分になれるよう、しっかりと技術を身に着けることに集中する機会を与えてくれます」とクルーは言います。
ダイブ・ニンジャ・エクスペディションズは、PADIのコアコースと複数のSPプログラムを組み合わせた“ニンジャ・レベル“のトレーニングプログラムを提供しています。ダイブ・ニンジャ・レベル1のパッケージには、以下のものが含まれています。PADIオープン・ウォーター・ダイバー、ピーク・パフォーマンス・ボイヤンシー、AWAREスペシャリストです。
クルーは次のように語ります。「このアイデアは、学生たちにダイバートレーニングへのより包括的なアプローチを提供することでした。より良いダイバーになると同時に、海のアンバサダーにもなってもらうためです。水中でのトレーニングが追加されることで、新人ダイバーはスキルや浮力を練習する時間が増え、同時に海を守るためにどうすればいいかを学ぶことができます。」
講習のヒント
「呼吸が浮力やコントロールにどのような影響を与えるかを知るために、私は意図的に深度変化が頻繁に発生するダイビングスポットを利用し、生徒達が自然かつ必然的に浮力コントロールの調整の経験を重ねることできるように潜るようにしています。」とクルーは言います。「また、テクニカルダイビングのワークショップで教えているスキルを改良して、よりミクロなレベルで空間認識や浮力コントロールを把握できるようにしました」。
以下のビデオでは、PADIコースディレクターであり、カナダのブリティッシュコロンビア州にあるオーシャンクエストダイブセンターの共同経営者であるグレッグ・マクラッケンによる指導のヒントを紹介しています。 https://youtu.be/swPVup2vItM
AWAREサメの保護
AWARE サメの保護コースの目的は、この誤解されている生物に起こっている多くの脅威について認識を高めることです。多くのダイバーはすでにサメに関心を持っていますが、このコースでは、サメ保護のために行動を起こすためのツールに加え、問題点をより深く理解することができます。
PADIコースディレクターで、タイのタオ島にあるPADI CDC Black Turtle Diveの海洋保護活動家であるマット・ボルトンは、「人間がサメの個体数に与える影響や脅威を知ったときの生徒の反応は、驚き、ショック、失望であることが非常に多い。しかし、生徒が情熱的なサメの保護者になるために必要なツールを提供し、世界中のコミュニティで家族、友人、社会グループを教育できるようにすれば、これは緩和されるでしょう。」と述べています。
指導のヒント
サメを見ることはSP認定に必要ではありませんが、もしサメがいる場合、ボルトンは生徒に行動を観察して記録し、種を特定し、非自然的な傷害を特定しながら、責任あるダイビングを実践し、環境への影響を最小限に抑えることを推奨しています。
- ノンダイバーは、自主学習や教室でのプレゼンテーションに参加することができます。
- AWAREサメの保護は、アドベンチャーダイブでも可能です。
「アップデートされたコース教材は、すべてのプロフェッショナルにとって優れたリソースであり、インストラクターは包括的な方法で知識開発を提供することができます。プロフェッショナルの観点から、AWAREの各種保護・保全プログラムを通じて教育できる生徒が増えれば増えるほど、海洋生物と海の惑星に悪影響を及ぼしているストレス要因を減らし、取り除くために、私たち全員ができることが増えるのです。」とボルトンは付け加えました。
無料の資料:
AWAREサメ保護SPインストラクターガイド、レッスンガイド、生徒用教材は、すべて無料でダウンロードできます。

全員で取り組もう!
海は私たちの助けを必要としています。あなたにはPADIプロフェッショナルとして、私たちの青い惑星に深い関心を寄せている人々に活力を与え、行動を起こすきっかけを与える機会があるのです。
変化を生み出すには、私たち全員の力が必要です。最初の一歩は幸いそこまで難しくありません。
PADIアシスタントインストラクターとPADIオープンウォータースクーバインストラクターは、自動的にAWAREスペシャリストとサンゴ礁保護のSP認定を提供することができ、教材はPADI AWARE Online Teaching Hubで無料配布されています。PADIダイブマスターは、PADIコースディレクターによるトレーニングを受けた後、これらのコースを教えることができます。
PADI フリーダイバー・インストラクターと PADI Mermaid™ インストラクターは、指導を希望するコースのフリーダイバー・スペシャルティ・コース指導者申請書(フォーム 10338)を提出することにより、AWARE スペシャリスト、サンゴの保護、Dive Against Debrisを教える資格を得ることができます。
さらなる資料は、AWARE Online Teaching Hubから入手できます。また、国際的なPADI AWAREチームに質問をして、サポートを受けることもできます。 連絡先:[email protected]
現在、AWAREのSPクラスをしていない方やクラスを設ける時間がない方は、Adopt the Blue™に登録しましょう。 保護すべきダイビングスポットを選択し、世界的な海洋保護の推進に貢献しましょう。さらに、AWAREのグローバルマップにあなたのダイビングサイトと名前が表示されます。Adopt the Blueの詳細と登録はこちら