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ダイビングの事故のほとんどは、安全手順からの小さなズレが積み重ねることから生じています。

BY RICHARD SADLER, M.D.

ダイバーズ・アラート・ネットワーク(DAN)のメディカルクルーは、ダイビングの疾病や緊急事態を理解し、問題が発生した場合の対処方法を提供します。救急ケアと救急隊や医師などの専門家による治療がスタンダードな手順であることを覚えておいてください。

状況認識とは、自分を取り巻くすべての関連している情報を認知し、理解し、必要に応じて適切な行動をとることで得られる意識の高まりのことを言います。トレーニング、準備、練習、チェックリストなどが状況認識を助けますが、ダイバーは常に周囲に気を配り、現在とその先の可能性ある状況の意味を認識し、必要な調整を行わなければなりません。

 

もちろん、状況認識はダイビングに限ったことではなく、さまざまな分野で何十年にもわたって研究されてきました。状況認識の基本は、「認知」「理解」「反映」の3つです。ここでは、ダイバーにどのように適用するかを説明します。

認知:リスクを管理するために、ダイバーは関連する情報を認知する必要があるのはご存知の通りです。しかし、例えば深度を保つことだけに集中し、ガス供給量を無視した場合、水中での緊急事態を引き起こす可能性があります。そのためには、ダイバーが積極的に自分の置かれた状況に関連した情報を収集し、「自分は気づいているか?」「何か見落としていることはないか?」「この状況は何か違うと感じるか?」などのメンタル・チェックリストを確認することが重要です。

 

理解:続けて、ダイバーが水深とガス供給量を把握していると仮定すると、この情報は適切な文脈に置かれて初めて意味を持ちます。シリンダーの残圧が70bar/1,000psiであることを知るだけでは十分ではありません。バディの位置、ボートまでの距離、潮流の強さなど、あらゆる情報がガス残圧に意味を与えます。それらの情報がないと、70bar/1,000psiという数値が計画通りなのか、それともガス切れを防ぐために適切な行動をとる必要があるのかを判断することができないのです。

 

反映:情報を理解することで、適切な行動をとることができます。反映する能力は、ほぼすべての分野で専門的技術とされています。ガス残圧を把握し、置かれている状況においてその意味を理解することで、ダイバーは方向性を持って行動できるようになります。例えば、ガスが残り少ない状況であれば、すぐにバディコンタクトを取り、浮上を開始するかもしれません。あるいは、ボートのある方向へ泳いで戻るかもしれない。あるいは、安全停止深度にある係留ラインの周辺を数分間ゆっくり探索するかもしれません。そのような判断ができるのも、状況認識能力があるからです。

 

特に、コンディションが良いときに「シンプルで」「リラックスできる」ダイビングをすると、現状に満足してしまい、間違った安心感を与えてしまうことがあります。結局のところ、私たちは人間に過ぎないのです。しかし、経験やトレーニングのレベルに関係なく、練習と意識的な努力によって、すべてのダイバーは状況認識を現在のレベルに維持するだけでなく、さらなるトレーニングや経験によって向上させることができるのです。

 

 


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